外国人が知っておきたい賃貸契約書の見方とチェックポイント
日本で自分が住むためのお気に入りの物件が見つかったら、いよいよ契約に進みます。
住み始めてからの、そして退去する際のトラブルを避けるためには、契約書の中身についてしっかりと理解しておくことが大切です。
そこで当記事では、日本の不動産契約における契約書と重要事項説明書(重説)の見方とチェックポイントについて解説します。
日本での生活を安心して始めるために、ぜひ参考になさってください。
1.日本の賃貸契約書とは
賃貸契約書とは、大家と借り主との間で結ぶ契約書のことです。
英語では“Lease Agreement”にあたります。
物件の情報や契約上の義務、ルールなどがまとめられており、双方が署名・押印することによって、契約に合意したことになります。
そのため、署名する前にその中身についてしっかり理解しておくことが大切です。
2.賃貸契約書の見方とチェックポイント
賃貸契約書は、不動産会社によってそれぞれフォーマットが異なります。
そこでここでは、国土交通省が発表している「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」内の賃貸契約書見本を参考に、それぞれの項目について見ていきます。
(ガイドライン内では、英語や中国語など、各国語で契約書の見本が参照できます)

重要事項説明書は日本語のみで交付されるケースが多いため、翻訳を依頼したり、外国語対応の不動産会社を選ぶのがオススメです。
①賃貸借の目的物
ここでは物件の基本的な情報と、どのような目的で利用すべきかが明示されています。
【主な内容】
- 建物の名称・所在地等:物件の正確な名称と所在地、建物の種類(アパート一戸建てなど)、構造など
- 住戸部分:物件の間取り、面積、備え付けられている設備の有無
- 付属施設:駐車場や物置の有無など
【チェックポイント】
- 日本の一般的な賃貸契約では、借りる部屋を住居以外(オフィスや店舗など)の用途で使うことは禁止されています。
- 設備の有無や条件は、トラブル防止のため必ず契約前に確認しておきましょう。
②契約期間
借りる物件の契約期間について明示されています。
【主な内容】
- 契約の開始日と終了日
【チェックポイント】
- 日本の賃貸住宅においては通常、契約期間は2年間です。
- 契約期間が終了後、希望すれば契約の更新が可能かどうかも契約前に確認しましょう。
③賃料等
毎月支払う家賃およびその他の費用について明示されています。
【主な内容】
- 賃料:1ヶ月の家賃
- 共益費:共用部分の維持管理費(清掃費、光熱費など)が含まれる場合の金額
- 敷金:賃料の滞納や、退去時の原状回復費用などに充当するための預かり金がある場合、その金額が記載される
- その他一時金:礼金、仲介手数料など、契約時に支払う一時金がある場合はその項目と金額が記載される
- 付属施設使用料:駐車場、駐輪場などの利用料がある場合、その項目と金額が記載される
- その他:上記以外に支払うべき費用がある場合に、その項目と金額が記載される
【チェックポイント】
- 毎月支払うのは、「家賃+共益費+α」です。毎月支払うことになる金額をしっかり確認しましょう。
- 敷金・礼金・仲介手数料は、入居時に一度だけ支払います。初期費用の内の大きな割合を占めますので、これも合計額をしっかり確認しましょう。
④貸主及び管理業者
この項目は、賃貸契約において物件の所有者と管理者が誰かを明示するものです。
【主な内容】
- 貸主:物件の所有者の情報
- 管理業者:貸主から委託されて、物件を管理する業者の情報
【チェックポイント】
- これらは、緊急時の連絡先ともなりえます。しっかり記録しておきましょう。
⑤借主及び同居人
賃貸契約における、借り主と同居人がいる場合の情報を明示するものです。
【主な内容】
- 借主:契約の当事者となる借主の情報
- 同居人:同居人がいる場合、その情報
【チェックポイント】
- 日本の賃貸契約では通常、無断で同居することは、たとえ恋人や家族であっても契約違反となります。契約時に同居人がいる場合は必ず申告し、入居後に同居人が増える場合も必ず通知してください。
⑥家賃債務保証業者
借り主が家賃を支払えない場合に備えて、家賃債務保証業者(保証会社)を利用する場合にはその情報が明示されます。
【主な内容】
- 保証会社の情報
【チェックポイント】
- 日本の賃貸契約では、借り主が家賃を支払えない場合に支払い義務を負う「保証人」が求められます。保証人は一般的に日本国内に住む安定収入のある親族である必要があるため、外国人にとって見つけるのが難しいことが多いです。
※ここまで説明した内容は、あくまでも国土交通省が用意した契約書の見本を元にしたものです。実際の契約書では「特約条項」なども含めて全体をしっかりチェックしてください。
3.賃貸契約書と重要事項説明書の違い
日本の賃貸契約時には、契約書だけではなく重要事項説明書が取り交わされます。
重要事項説明書とは、賃貸契約がトラブル無く行われるように、契約前に大事なポイントを説明するための書類のことです。
重要事項の説明は法律によって義務付けられており、契約する人が「どんな物件か」、「契約の条件はどうなっているか」を十分に理解した上で契約する助けとなります。
同時に、契約後に「聞いていない」を避けるための書類でもあります。
簡単にまとめると、契約書=約束の内容、重説=その約束の詳細説明 という役割分担です。
4.重要事項説明書の見方とチェックポイント
重要事項説明書についても、「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」内に英語の見本が用意されています。
賃貸契約書と重複する部分もありますが、特にチェックするポイントについて解説します。
飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の整備状況
電気・水道・ガスなどのライフラインに関する情報が明示されています。
【主な内容】
- 電気・水道・ガスの設備状況
【チェックポイント】
- ライフラインがすでに設備されているか、それとも自分で契約する必要があるか(主にガス)を確認する。
借賃以外に授受される金額
家賃以外に支払うべき項目と、その金額が明示されています。
【主な内容】
- 敷金、礼金、仲介手数料、共益費など
【チェックポイント】
- 基本的には契約書に示されているものと同じだが、重要事項説明書においてもその項目と金額が間違いないかを確認する。
契約の解除に関する事項
契約を解除できる場合の状況について明示されています。
【主な内容】
- 貸主が定める、契約を解除できる状況について。例:家賃の滞納、物件の目的外での利用、禁止行為など
- 借り主が契約を解除できる条件と内容
【チェックポイント】
- 借り主が契約の解除に関する事項に抵触する事柄を行った場合、借り主はその物件から退去しなければなりません。
- 借り主が契約期間中に移転する場合、多くの場合、退去を希望する30日前までに通知すれば、その期間分の家賃を支払うことで途中解約が可能です。
用途制限・禁止事項
契約書に記載された借主・同居者の範囲が明示されています。
【主な内容】
- 同居者が増える場合の手続きや違約リスクについて
【チェックポイント】
- 用途制限(住居専用か事務所不可など)やペット・楽器使用の可否をチェック。違反時の罰則に注意
敷金等の精算に関する事項
敷金を返金する場合の条件と、その内容について明示されています。
【主な内容】
- 原状回復に関する事項:賃貸借契約終了時に、借り主が物件をどのような状態にして貸主に返還するかについて定めたもの
- 費用負担:原状回復時の費用を、誰がどの割合で負担するか
【チェックポイント】
- 日本の賃貸借契約では通常、退去時に借り主は物件を原状回復する義務を負います。しかし、経年劣化や通常の使用による損耗は、原状回復義務の対象外となります。
- 原状回復の内容については、賃貸契約書の「別表」にも記載されています。退去時にトラブルにならないよう、賃貸契約書ならびに重要事項説明書は大切に保管しておいてください。
原状回復についてさらに詳しくは、こちらをご覧ください。
退去費用の相場ってどのくらい?外国人向け日本賃貸ガイド(リンクを張って下さい)
5.オンラインでの契約説明(IT重説)とは
賃貸契約においては、重要事項の説明を担当者から受けることが法律によって義務付けられています。
しかし2017年からその説明を、非対面のオンラインで行っても良いことになりました。これを「IT重説(ITを活用した重要事項説明)」といいます。
外国人にとって、IT重説はいくつものメリットがあります。
- 日本に移住前から賃貸契約が行える
- 翻訳アプリを利用できる
- 録画して、後から見直せる
可能であれば、IT重説も積極的に活用しましょう。
6.外国人が賃貸契約を成功させる方法
賃貸住宅の契約は、外国人にとってハードルが高いように感じるかもしれません。
契約内容について十分に理解して契約を成功させるために、ぜひ次のような方法を用いて下さい。
- 英語(もしくは自国語)の賃貸契約書と重要事項説明書を用意してもらう
- 信頼できる日本人を頼る
- 外国人向けのサービスを提供している不動産会社を利用する
特にMooovinのような外国人専用の賃貸情報サービスを利用するなら、賃貸契約もスムーズに行えるでしょう。