日本でのIT重説とは? 外国人のためのオンライン賃貸契約ガイド
「IT重説」とは、日本特有の制度である重要説明事項をIT機器を活用して実施することを指します。本記事では、外国人向けにオンライン賃貸契約の概要やメリット・デメリットを徹底的に解説します。
1.IT重説とは?|外国人にもわかる日本の重要事項説明
T重説とは、不動産物件の契約時に必要とする重要事項説明(重説)を、パソコンやスマホなどのIT機器を活用して実施することです。
従来は対面で行うことが義務付けられていましたが、2017年10月1日より賃貸契約では遠隔で行うIT重説が可能になりました。
その後、2021年4月より売買契約においても可能となり、現在では不動産取引全般でIT重説が運用可能となっています。
重要事項説明とは(日本特有の制度)
重要事項説明とは、日本特有の制度で、宅地建物取引業法という法律に定められた手続きで、不動産の売買・賃貸の契約を行う際に必ず必要とする説明のことを指します。
重要事項説明の主な内容は、以下の通りです。
| 対象物件に関する事項 | 登記記録に記録された内容 法令に基づく制限の内容 飲用水などのインフラの整備 状況建物の設備の整備状況 耐震診断の内容 石綿使用調査の内容 |
| 取引条件に関する事項 | 賃料以外に必要な金銭 契約の解除に関する内容 契約期間と更新の内容 用途その他利用の制限の内容 敷金等の精算に関する内容 損害賠償の予定や違約金の内容 支払金や預かり金の保全措置 金銭の貸借のあっせん 管理の委託先 |
上記のような重要事項を記載した書面を「重要事項説明書」と呼び、宅地建物取引士は記名押印済みの重要事項説明書を入居予定者に交付したうえで、口頭説明を行う必要があります。
※参考:国土交通省『重説に関するガイドライン』
2.IT重説を利用するための条件|必要機材・書類・準備まとめ
IT重説を受けるには、次の3つを準備する必要があります。(詳細はこのあと解説します)
| 項目 | 内容 |
| 機材 | スマホ・PC・タブレット、カメラ・マイク、安定した通信環境 |
| 契約者の準備 | 在留カード・パスポート、有効期限確認、通訳者同席の可否確認 |
| 不動産会社の条件 | 宅地建物取引士が説明、録画・録音の同意 |
利用に必要な機材と環境
まずは、利用に必要となる機材や、万全な環境を用意することが大切です。
オンライン通信になるため、スマホ・PC・タブレット等の電子機器や、カメラ・マイクを準備しておきましょう。
また、安定した通信環境を整え、通信トラブルがないように注意しておく必要があります。通信環境については、Wi-Fiが不安定な場合はモバイルデータの予備回線を用意する、もしくは有線LANを利用するなど、トラブル防止の工夫をすると安心です。
契約者側に必要な準備
契約者側には、本人確認書類(在留カード・パスポートなど)を準備しておく必要があります。
本人確認書類の有効期限や、在留資格の残存期間が契約期間をカバーしているかも確認しましょう。場合によっては、契約期間が在留資格に合わせて短縮されるケースがあります。
また、日本語に不安がある場合には、通訳者の同席が可能かを不動産会社に事前相談するようにしましょう。
不動産会社側の条件
不動産会社側にも、IT重説を実施するための条件があります。
まずは、先述したように、必ず宅地建物取引士が説明することです。これはIT重説に限らず、重要事項説明において守らなければいけないルールです。
また、同意が必要になりますが、録画・録音は原則可能としましょう。
3.IT重説のメリット|渡航前契約・録画機能で安心
ここからは、IT重説のメリットを解説します。
渡航前に契約できる
外国人への大きなメリットとして、渡航前に契約できる事があげられます。
IT重説では、店舗に足を運ぶ必要がないため、契約者の負担が大幅に軽減されます。日本以外に住んでいたり、店舗が遠かったりしても、スムーズに契約まで完了することができます。
特に学生や就職予定者にとっては、渡航後すぐに住める住まいを確保できる点が大きなメリットです。
録画で内容を確認できる(言語の壁対策にも)
許可をとれば録音や録画も可能になります。
当日のやりとりの記録を残しておけるため、トラブルに繋がりにくく、言語の壁対策にもなります。
IT重説のメリットとデメリットをまとめると次の通りです。
| メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
| 渡航前に契約できる | 通信トラブルのリスク | 渡航後すぐ住める部屋を確保したい人 |
| 録画で復習できる | 日本語説明が中心 | 日本語が不安な人(録画して後から確認可能) |
| 店舗に行かずに契約完了 | 時差調整が必要 | 海外から契約したい人 |
4.IT重説のデメリットと注意点|外国人が失敗しないために
ここからは、デメリットを解説します。
通信トラブル
インターネットを利用してIT重説を実施するので、通信トラブルは起きやすいです。
特に、電波が悪い場所で実施してしまうと、画質が極端に悪くなったり、映像・音声が途中で途切れたりと円滑に重説が行えません。
万一、途中で接続が切れた場合には、その場で再接続できるか、別日にやり直しになるのかも事前に確認しておくと安心です。
外国人が利用するときの注意点(言語・文化の違い)
日本の賃貸契約では「保証会社」の利用がほとんどの場合、必須となります。
重説の際に説明されるので、保証人の要不要や保証会社の審査条件も理解しておきましょう。
また、日本では契約解除のルールや原状回復の考え方が母国と異なることもあるため、細かい部分まで聞いておくことをおすすめします。
5.よくある質問(FAQ)
ここからは、外国人からよくある「IT重説」に関する質問をまとめました。
ぜひ、参考にしてください。
IT重説は英語で受けられる?
不動産会社によって対応可否が異なります。
通訳者の同席や、翻訳アプリの使用が許可される場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
外国からでも受けられる?
外国からでもIT重説を受けることはできます。しかし、時差の問題や通信環境の安定性を考慮して、不動産会社と調整しておきましょう。
推奨環境として、上り下りともに5Mbps以上の通信速度があると安定しやすいです。ZoomやTeamsなど、一般的なビデオ会議ツールを使って実施されます。
通訳を同席させてもいい?
基本的には、可能です。
ただし、不動産会社によって対応可否が異なる場合もありますので、事前に確認しておくのが良いでしょう。
また、同席者もカメラ・マイクを使用できる環境を準備しておく必要があります。
IT重説で必要な書類は?
本人確認書類が必要になります。
在留カードやパスポートのほか、場合によっては学生証・勤務先証明・保証会社に提出する書類も同時に求められることがあります。