【外国人向け】定期借家とは?普通借家との違いや外国人が知っておくべき注意点を解説
日本の部屋探しをしていると、「定期借家」という文字を目にすることはありませんか?
実は日本の賃貸契約には、「普通借家」と「定期借家」という2つの契約方法があるのです。その違いを知らないと、予期せぬトラブルにもつながりかねません。
そこで当記事では、日本の賃貸住宅を探している外国人向けに、定期借家とは何か、普通借家との違いや、定期借家の利点また注意点などを解説します。
自分の理想通りの部屋を見つけるためにも、ぜひ参考になさってください。
1.普通借家とは
普通借家とは、日本における一般的な賃貸契約のことです。
通常、契約期間は2年(1年のこともある)ですが、あなたが「この家に住み続けたい」と希望すれば、原則として契約を更新することができます。
家のオーナー(貸主)が更新を断るためには、「貸主自身が住む家が他にない」といった、よほど強い理由がなければなりません(これを「正当事由」と言います)。
2.定期借家とは
定期借家は一言でいうと、「契約期間が決まっている契約」のことです。
普通借家と違って、「更新」という概念が存在しません。契約期間が終わると、基本的にはその部屋を出なくてはなりません。
もしあなたが望み、オーナーも同意するならば、再契約も可能ですが、絶対ではありません。
なぜ「定期借家」という契約スタイルがあるのか
借主が希望すれば、基本的に契約を更新して同じ部屋に住み続けられる日本の一般的な賃貸契約は、とても魅力的に感じるでしょう。
では借主の権利を強く保証するのが一般的な日本において、どうして定期借家という契約方法が存在するのでしょうか?
それは、何らかの事情で部屋を貸すのは一定期間だけにしたいという、オーナー側の事情が関係します。
例:
- オーナーが海外転勤から戻ってくるまでの期間限定で貸したい
- 自分の子どもが住む予定になっている
- アパートを建て替える予定がある、その他
このように、それなりの理由があって定期借家になっているため、契約期間が終了するとその物件を出なければなりません。
日本と海外の賃貸契約の違い
日本ではあくまでも普通借家が一般的な契約方法であり、定期借家は例外的なシステムです。
しかし海外ではそうではありません。
海外ではむしろ、定期借家のような契約方式が一般的でしょう。例えば1年の契約期間が終了すると、借主とオーナーで再契約を結ぶかどうかが話し合われます。オーナーが再契約を拒めば、同じ部屋に住み続けることはできません。
しかし日本では住んでいる人(借主)の権利が強く保護されています。これは国際的に見ても非常に手厚い制度です。そのため、契約の更新を継続し続けて同じ物件に長く住み続ける人も非常に多いです。
賃貸市場における定期借家の割合
国土交通省の「住宅市場動向調査(2022年)」によると、日本における普通借家と定期借家の割合は以下のようになっています。
- 普通借家:94.8%
- 定期借家:2.1%
これからも分かるように、日本の賃貸住宅の契約方法は普通借家がほとんどであり、定期借家は例外的な契約スタイルです。
3.「定期借家」と「普通借家」の違いを4つのポイントで比較
ではここで改めて、定期借家と普通借家の違いを4つのポイントから見ていきましょう。
違い①:契約更新の有無(定期借家は更新なし)
- 普通借家:借主が希望すれば原則更新される
- 定期借家:期間満了で必ず契約が終了。引き続き住むには「再契約」が必要
上で説明した通りです。
違い②:契約書・説明方法(定期借家は特別な説明が必要)
- 普通借家:重要事項説明書等を用い、書面で説明・契約がなされる
- 定期借家:上記に加え、「更新がなく、期間満了で終了する」という定期借家である旨の特別な説明を、貸主側から書面で行わなければならない
定期借家は日本では一般的ではないため、必ずその旨を書面で通知することが義務付けられています。
違い③:中途解約の可否(定期借家は原則NG)
- 普通借家:1ヶ月前の通知などで解約できる場合が多い
- 定期借家:原則、途中解約はできない(※例外条件あり)
普通契約では、借主の都合で途中の契約を解除することができます。しかし定期借家では契約期間が定められているので、基本的にはその間の契約解除はできません。
ただし、次の条件を満たす場合には定期借家でも借主から契約解除を申し出ることができます。
- 床面積が200㎡未満の居住用物件であること
- 転勤、病気の療養、親族の介護など、やむを得ない事情があること
加えて、契約書に「1ヶ月前に通知すれば中途解約できる」といったルール(特約)が書かれている場合もあります。
違い④:再契約・条件変更(定期借家は条件が変わる可能性あり)
- 普通借家:基本的に同条件で継続される
- 定期借家:再契約時に条件変更の可能性がある
普通借家では契約更新が前提となっているため、家賃や契約条件は原則としてこれまでと同じ内容で継続されます。貸主が契約条件を大幅に変えることは法律上制限されており、借主の権利が強く守られています。
一方、定期借家契約では契約期間終了とともに契約が終了するため、継続して住む場合は再契約が必要です。再契約は新たな契約締結となるため、家賃や契約条件を貸主が自由に設定し直すことが可能であり、場合によっては条件が変わることもありえます。
比較表:「定期借家」と「普通借家」の主な違い
| 項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
| 契約の更新 | 原則として更新される | ない(期間満了で終了) |
| 再契約 | ー | 貸主と借主の合意があれば可能 |
| 契約前の説明 | 重要事項説明書に基づく一般的な説明 | 加えて、定期借家契約であることの書面による説明が義務 |
| 中途解約 | 予告期間を守れば可能 | 原則不可(※例外あり) |
| 借主の立場 | 比較的強い | 比較的弱い |
4.外国人にとっての「定期借家」3つのメリット
借主の権利が強く保証される日本の賃貸契約において、あえて定期借家の物件を選ぶメリットはないように思えるかもしれません。
しかし定期借家には、外国人だからこそのメリットも存在するのです。
周辺の物件より家賃が安いことがある
定期借家は普通借家よりも条件が悪いため、同じような間取りの物件であれば周辺の他の物件よりも家賃が安く設定されることが多いです。
これは、なるべく生活費を抑えたい外国人にとっても大きなメリットでしょう。
オーナーがこだわった良質な物件が見つかることも
定期借家は、オーナーが将来的に自分が住むことを前提にして貸し出しているケースもあります。そのため、一般的な賃貸物件よりもグレードの高い分譲マンションの一室や、おしゃれな家具・家電が最初から付いている物件、手入れの行き届いた一戸建てなど、お得な物件に出会える可能性があります。
留学や短期の仕事など、滞在期間が決まっている人には合理的
ビザや仕事の関係で日本に滞在する期間が決まっている外国人にとっては、定期借家は逆に合理的な選択肢となります。あえて定期借家を選ぶことによって、上で説明したようなメリットを得られるからです。
5.「定期借家」の注意点と4つのデメリット
ただ一方で、やはり定期借家ならではのデメリットにも注意しなければなりません。
気に入っても住み続けられない可能性がある
やはりこれが、最大のデメリットです。いくらあなたがその家を気に入って、「ずっとここに住みたい」と思っても、オーナーに再契約の意思がなければ、契約期間の満了と共に退去しなければなりません。
再契約の際に家賃などの条件が変更されることも
もしオーナーが再契約に合意してくれても、今までと同じ条件で住めるとは限りません。「次の契約からは家賃を5,000円上げます」、「新しいルールを追加します」といったように、条件が変更される可能性があります。
急な帰国や引っ越しでも、契約途中の解約は原則できない
契約期間中に自己都合で解約することは原則できません。もし解約できたとしても、残りの期間の家賃に相当する違約金を請求される可能性があります。
物件数が少ない(特に都心部)
上で説明した定期借家の割合から明らかなように、定期借家の物件はそもそもの数が限られています。そのため、「絶対に定期借家の家に住もう!」と思っても、希望通りの物件が見つかるとは限りません。
6.失敗しない!定期借家契約の流れとチェックポイント
ここからは、定期借家で賃貸契約を結ぶ際の流れとチェックポイントを見ていきましょう。
ステップ1:物件情報で「定期借家」の表示を確認しよう
定期借家物件は、必ずその旨が表示されています。そのため、不動産情報サイトや不動産屋さんで「定期借家」の表示がある物件を探してください
不動産情報サイトによっては、定期借家のみを特集して取り扱っているものもあります(例:エイブル)。
そうした情報サイトで定期借家の物件を探すのが、一番効率的です。
ステップ2:不動産会社から「定期借家説明書」を受け取り、説明を聞く
気にった定期借家の物件が見つかったら、不動産会社の担当者から「定期借家説明書」を受け取って、説明を聞いてください。それには契約期間やその他の条件など、定期借家を借りる時に知っておくべき情報が記されています。
その条件に同意したら、契約に進みます。
ステップ3:契約書で必ず確認すべき5つの項目
契約書にサインする前に、次の5つのポイントを必ずチェックしてください。
- 契約期間:満了日はいつか?
- 再契約に関する条項:再契約の可能性はあるか?
- 中途解約に関する特約:やむを得ない場合の解約条件は?
- 原状回復の範囲:退去時にどこまで修繕する必要があるか?
- 通知義務:貸主からの満了通知はいつ来るか?
これらは、定期借家の賃貸住宅を利用するためにとても重要な項目です。
原状回復についてさらに詳しくは、「退去費用の相場ってどのくらい?外国人向け日本賃貸ガイド」をご覧ください。
ステップ4:【プロのアドバイス】再契約の可能性について質問してみよう
契約書にサインをする前にもう一つ追加で、こう質問するのをおすすめします。
- 「オーナー様は、将来的に再契約をするお考えはありますか?」
もちろん、その時点での回答が将来を保証するものではありません。しかし、「転勤から戻る予定なので、再契約は絶対にありません」と言われるか、「特に問題がなければ、再契約を前向きに考えています」と言われるかによって、あなたの意思決定は大きく変わるに違いありません。
7.よくある質問(Q&A)
最後に、定期借家にまつわるよくある質問をまとめました。
Q. 再契約したいときは、いつ・誰に伝えればいいですか?
A. 物件を管理している不動産会社に連絡するのが一般的です。契約期間が終わる半年~3ヶ月前くらいまでには、「再契約を希望します」という意思を伝えるとスムーズでしょう。早めに伝えることで、オーナー側も考える時間ができます。
Q. 貸主からの契約終了の通知は、いつ頃に来ますか?
A. 法律で、貸主は契約期間が満了する1年前から6ヶ月前までの間に、借主に対して「本契約は〇月〇日で終了します」という内容の通知をしなければなりません。もしこの通知がなければ、貸主は契約の終了を主張できない場合があります。
Q. 「再契約型定期借家」と書かれている物件は、ずっと住めますか?
A. 「再契約型」と書かれている場合、貸主が初めから再契約に前向きであることを示しているため、住み続けられる可能性は高いと言えます。しかし、これは法的に保証されたものではありません。 あくまで定期借家契約であるため、将来、貸主の事情が変われば再契約ができないリスクもある、ということを覚えておいてください。
Q. 外国人だという理由で、定期借家しか紹介してもらえないことはありますか?
A. 基本的に外国人であることだけで定期借家しか紹介されないことはありませんが、一部の貸主はコミュニケーションの難しさや文化の違いを懸念し、滞在期間が不確定な外国人に対して期間が定められた定期借家を提案する場合がありえます。もし不安を感じたら、「普通借家の物件も紹介してください」と遠慮せず伝えましょう。