日本の賃貸物件で「外国人お断り」の真実:理由と対策を徹底解説!
日本で生活するための物件を探している外国人にとって、不安になる言葉が「外国人お断り」でしょう。
どうしてそんな物件が存在するのでしょうか?
外国人が日本で物件を探して契約するにはどうしたら良いの?
当記事は、そんな疑問をお持ちの方のために準備されました。
日本の物件選びを安心して行うためにも、ぜひ参考になさってください。
1.日本の賃貸住宅における外国人の割合
日本で「外国人お断り」の物件があるならば、それは日本に暮らす外国人の増加と無関係ではないはずです。
外国人居住者の増加と賃貸市場の現状
2024年末時点の在留外国人数は約376万人で、3年連続で過去最高を更新しました。これは前年末と比較して約10.5%の増加となります。
在留外国人の約半数の世帯が賃貸住宅に住んでいるとされており、特に東京・神奈川・埼玉・千葉に限ると、約6割の世帯が賃貸住宅を利用していると推計されています。
日本全体で見ると、少子高齢化に伴う人口減少で空き家・空室が大きな問題となっています。
しかし東京をはじめとする大都市では賃貸住宅の需要も高く、日本人であっても部屋を見つけるのが難しい状況がみられます。
2.なぜ「外国人お断り」は存在するのか?大家さんの本音と背景
日本で生活する外国人が増え続ける中で、残念なことに一部に「外国人を自分の物件に住まわせたくない」と考える大家さんがいるのも事実です。
その根本にあるのは、外国人への誤解と偏見でしょう。
コミュニケーションの壁
日本だけに限らず、言葉の違いによって十分なコミュニケーションが取れないことは、摩擦の大きな原因となります。
部屋を借りるのに必要な賃貸契約書や重要事項説明書は日本語で書かれているため、外国人がその内容を十分に理解してくれるのか?と大家さんが心配するのも無理はありません。
また万が一トラブルになった時の、コミュニケーションの問題もあるでしょう。
実際には、最近は英語をはじめとする多言語の賃貸契約書を用意する不動産会社が増えていますし、翻訳アプリなどで言葉の壁も大きな問題ではなくなってきました。
しかしそれでも外国人とのコミュニケーションに関する「心理的な壁」を持つ日本人は、決して少なくないのです。
日本の不動産における賃貸契約書についてさらに詳しくは、「外国人が知っておきたい賃貸契約書の見方とチェックポイント」をご覧ください。
文化・生活習慣の違いから生じる懸念
コミュニケーション以上に、日本の一部の大家さんが外国人の受け入れを拒むのは、文化や生活習慣の違いです。
日本では「周囲に迷惑をかけない」ことが当たり前の考え方であり、外国人にもそれを求めます。
しかし日本と海外とでは生活の仕方やルールに関しても様々な違いがあり、それが原因となるトラブルも実際に起きているのです。
例えば
- 騒音:日本人は静かに生活するのを好みます。しかし海外ではホームパーティーなどで騒ぐことも珍しくありません。騒音に関する認識の違いが、トラブルの原因となります。
- ゴミ出し:海外ではゴミはまとめて出して業者が処理するというところも多いですが、日本ではゴミ出しのルールが厳格で複雑です。外国人にとっては慣れるまでに時間がかかるでしょう。
- 部屋の使い方:日本人は清潔さを非常に重視します。しかし国によっては生活習慣の違いから、汚れに関する感じ方にも違いがあります。「外国人は部屋を汚す」という偏見を持つ大家さんも少なくありません。
- 日本の賃貸ルールに関する理解不足:日本には「礼金」や「更新料」、「連帯保証人」など、独自の賃貸ルールが存在します。そうしたルールを本当に外国人が理解して守ってくれるのか、心配する大家さんもいるのです。
こうした文化や生活習慣の違いによるトラブルを避けるために、「外国人お断り」としたい大家さんがいるのは事実です。
退去時の手続きや連絡の不安
大家さんが「外国人お断り」にしたい別の理由は、退去トラブルです。
部屋をひどく汚したり、家賃を未納のまま退去して国に帰ってしまうのでは?と心配しているのです。
いざそうしたトラブルが発生すると、解決は非常に困難。
過去にそうした経験をした、あるいはそうした話を聞いたという大家さんは、外国人に自分の部屋を貸すのをためらうかもしれません。
3.「外国人お断り」は違法?日本の法律と判例
以上のような理由で、「外国人お断り」にしたいと思っている大家さんがいることは事実です。
ですが実際のところ、賃貸住宅ポータルサイトで「外国人お断り」の物件を目にすることはないはずです。
差別に当たるおそれが高く、不適切とされています。
契約自由の原則と差別の禁止
日本の民法には「契約自由の原則」という基本的な考え方があります。誰と、どんな契約内容にするかは自分で自由に決められるという大原則です。
例えば、スーパーでりんごをいくらで売るか、または買うかは本人同士で自由に決められます(売買契約)。
同じように不動産契約においても、大家さんが誰に、家賃をいくらで貸すかは自由に決められます。逆に言えば、「誰に貸さないか」も大家さんの自由というわけです。もちろん借りる側も、どんな部屋を借りるかは自由。
これが、「契約自由の原則」です。
とはいえ、「契約自由の原則」があるからといって、大家さんが「外国人」であることを理由に不動産契約を拒否することは人権上の問題から、認められていません。
日本の法律には欧米のような「国籍を理由に契約を拒否することを禁止する法律」は無いのですが、国土交通省はガイドラインの中で「外国人であることを理由として入居を拒否すると、不当な差別に当たるおそれがあります」と注意喚起しています。
法律上の解釈
- 大家は誰に自分の部屋を貸すかを自由に決めることができる。しかし外国人だからということを理由に契約を拒否することは不当な差別であるため、認められない。
大家が損害賠償を命じられたケース
「外国人お断り」は差別的であり不法行為になるということは、実際の裁判でも明らかになっています。
判例1:
ある外国人が京都のマンションの賃貸契約を申し込みました。しかし、大家さんは「外国人だから」という理由だけで契約を断りました。裁判所は、この対応を「国籍だけを理由に契約を拒否するのは憲法の趣旨に反する不合理な差別であり、許されない」と判断し、慰謝料100万円と弁護士費用の一部10万円の合計110万円の損害賠償が命じられました。
判例2:
別の事例では、仲介業者が「◯国人には仲介しない」と発言したことが問題となりました。判決では賃貸借契約の成立自体は認められませんでしたが、発言については差別的であるとして、人格権侵害を理由に慰謝料10万円と弁護士費用の一部1万円の損害賠償が認められました。
このような判決が出たために、普通の不動産会社や賃貸住宅情報サイトなどで「外国人お断り」という物件を目にすることはないはずです。
国籍以外の「正当な理由」とは?
裁判で明らかになったのは、「外国人だから」という理由のみで契約を拒否することはできないということで、国籍以外の「正当な理由」で契約拒否することは問題ありません。
賃貸契約拒否が認められる正当な理由の例
- 支払い能力の不足・信用不十分:家賃を支払う能力がないと合理的に判断できる場合(収入証明の不足や信用情報に問題があるなど)や、過去に家賃滞納などのトラブルがある場合
- 契約内容を遵守しない恐れがある場合:騒音問題や迷惑行為など、契約上の義務を守らない可能性が高い場合や、法令違反や近隣住民への重大な迷惑行為が予想される場合
- 用途に適さない場合:例えば住居用の物件に事業用での使用を申請している場合など、契約目的が物件の用途に合わないケース
- 入居者数や家族構成が物件の規定を超える場合:法定の居住人数制限を超える申込みなど
もしもこうした合理的で具体的な理由があれば、大家さんは賃貸契約を拒否することができます。大事なのは、「国籍は関係ない」ということです。
たとえ日本人であってもこうした理由がある場合は契約を拒否されますし、逆に「外国人だから」というのは理由にならないということです。
4.「外国人お断り」の壁を乗り越えるための具体的な対策
外国人だからということで契約を拒否することはできませんが、実務上は契約申込後に、大家さんが様々な理由をつけて契約を拒否することは実際にありえます。
つまり「外国人だから」ということを隠して、別の名目で契約を拒否するわけです。上で説明したような理由から、外国人の入居を嫌がる大家さんも実際にいるのです。
外国人が自分の希望する部屋の賃貸契約を成功させるには、大家さんが抱える不安を解消する、具体的なアプローチが必要です。
支払い能力の証明
大家さんが一番心配するのは、入居者の家賃支払い能力です。口にはしないでしょうが、心の中では「この外国人は本当に毎月家賃をちゃんと払ってくれるのだろうか?」と心配しているかもしれません。
その心配を打ち消すには、自分の支払い能力を示すことが一番効果的です。
具体的には、以下のような書類を用意すると良いでしょう。
- 在職証明書:勤務先の会社名・所属部署・雇用形態・勤続年数などを記載した文書。日本語で提出できると安心感があります。
- 収入証明書(給与明細や源泉徴収票):直近3ヶ月分の給与明細や、前年の源泉徴収票などがあれば提出しましょう。これによって安定した収入があることを示せます。
- 銀行残高証明書:家賃の数ヶ月分以上の残高があることを示すと、短期的な支払い能力への信頼につながります。
- 在留カードと在留資格:有効な在留カードと、安定した在留資格(就労ビザ・定住者・永住者など)を提示することで、長期滞在の意志と安定性を示せます。
- 連帯保証人や家賃保証会社の利用:日本人の保証人がいる場合や、保証会社を利用することで、万一のリスクへの備えがあると認識されます。
日本の賃貸習慣とルールの熟知
大家さんは、入居者が起こすトラブルも心配します。自分にはそんな心配は不要であることを証明できれば、大家さんも安心して部屋を貸してくれるでしょう。
具体的には、以下のようなことを試してください。
- ゴミ出しや騒音などのルールを理解していることを説明する。
- カタコトでもいいので、日本語で挨拶するなどの誠実さを示す。大家さんの印象が良くなります。
- 職場の日本人の上司などに推薦状を書いてもらう。自分が信頼できる人であることを第三者に証明してもらいましょう。
- 日本での居住実績があるならば、それを示す。これまでトラブル無く過ごしてきたことは大きな安心材料となります。
初めて日本に住む外国人には難しいこともありますが、大切なのは自分が日本の賃貸住宅のルールや習慣を理解していることを示すことです。
そうした姿勢は、大家さんを安心させ、信頼を勝ち得るのに役立つでしょう。
物件選びのポイント:外国人歓迎物件を見つけるには
初めから外国人でも借りやすい物件を探すというのは、とても実際的な方法です。
外国人歓迎の物件を見つける方法は、以下の通り。
- 外国人専門の不動産会社・仲介業者を利用する:例えばMooovinは、外国人専用の賃貸情報ポータルサイトです。このサイト上で紹介されている物件は、「外国人お断り」のはずはありません。
- 外国人が多いエリアを検討する:一般の不動産屋さんを利用する場合でも、外国人が多く住んでいるエリアならば、外国人歓迎の物件を見つけやすいでしょう。
- 社宅や提供物件を利用する:企業によっては社宅や、提携している賃貸物件を紹介してくれることもあります。就職先に問い合わせてみてください。
- 自治体の相談窓口を利用する:外国人向けに、賃貸物件を紹介する窓口を設置している自治体もあります(例:かながわ外国人すまいサポートセンターなど)。希望するエリアの自治体に問い合わせてみてください。
5.よくある質問(FAQ)
最後に、日本の賃貸住宅を探している外国人からよく寄せられる質問とその答えをまとめました。
Q1:観光ビザでも賃貸契約はできますか?
日本の賃貸契約は通常、2年間の長期契約を前提としています。そのため、観光ビザなどの短期滞在ビザで普通のアパートやマンションを契約することは難しいでしょう。また実際問題として、日本のアパートやマンションには家具や家電などは基本的に備え付けられていません。短期滞在でそうしたものを揃えるのも現実的ではないでしょう。
Q2:短期滞在でも借りられる物件はありますか?
はい、あります。例えば週単位または月単位で借りられるウィークリー・マンスリーマンションです。そうした物件は基本的な家具や家電も備えられていることが多いので、短期滞在に向いています。
Q3:保証会社を利用すれば、必ず部屋を借りられますか?
保証会社を利用すれば、連帯保証人を用意しなくても審査を通りやすくなります。ただし審査の条件はそれだけではなく、日本での仕事や収入の安定性も重視されるため、絶対とは言い切れません。
Q4:契約時に必要な書類は何ですか?
外国人が賃貸契約を結ぶ際に必要な書類は、一般的に以下の通りです。
- 在留カード:日本での合法的な滞在を証明するカードです。
- パスポート:本人確認のために必要です。
- 在留資格証明書または就労資格証明書:ビザの種類や仕事の可否を示します。
- 収入を証明する書類:雇用契約書、在職証明書、給与明細など。
- 学生証:留学生の場合に必要なことがあります。
- 勤務先の情報:会社名、連絡先など。
- 日本国内の緊急連絡先:友人や同僚など、連絡が取れる人の情報。
- 日本で使える携帯電話番号:連絡用として必要です。
- 印鑑と印鑑証明書:日本では署名の代わりに印鑑を使うのが一般的です。「実印」とその証明書が必要な場合もあります。
事前にこれらの書類をそろえておくことで、スムーズに契約手続きが進みます。
外国人が日本の賃貸契約を成功させるための方法についてさらに詳しくは、「日本の賃貸契約を成功させる!外国人向け不動産審査基準対策ガイド」をご覧ください。