日本に住むなら「温水洗浄便座(ウォシュレット)」?外国人のためのトイレの便座交換マニュアル
日本の温水洗浄便座(ウォシュレット)を初めて使う外国人の多くはその快適さに感動し、「日本に住むなら絶対にウォシュレットを取り付ける!」と思うものです。
しかし、賃貸住宅の場合は最初からついている場合は別として、後から自分で勝手に取り付けることを許されない場合もあります。
そこで当記事では、日本の賃貸住宅を探している外国人向けに、ウォシュレット取り付けの許可の取り方から便座の交換方法、注意点まで詳しく説明します。
1.外国人が憧れる日本の温水洗浄便座
温水洗浄便座(ウォシュレット)とは、座面を温めたり、ノズルから温水で洗浄したりする機能を持つ便座のことです。他にも乾燥機能や脱臭機能など、機種によっては多くの追加機能があります。
日本では多くの家庭で使われており、海外から来た人が「これは凄い!」と感じる代表的な設備の一つです。
温水洗浄便座とは?基本の機能と魅力
ウォシュレットはTOTOの商標で、正式には「温水洗浄便座」と言いますが、日本では他のメーカーのものもまとめてウォシュレットと呼ばれることが多いようです。
ウォシュレットの代表的な機能は、以下の通り。
- 温水洗浄:お湯でおしりを洗浄。水温は調整可能で、冷たすぎる水の不快感を避けられる。
- ビデ洗浄:女性向けのやさしい洗浄。デリケートゾーンをソフトに洗える。
- 水勢調整:水の強さを強弱で調整可能。敏感な人やしっかり洗いたい人に合わせられる。
- 温風乾燥:洗浄後に温風で乾かす機能。トイレットペーパーの使用量を減らせる。
- 暖房便座:冬場でも座面が温かく快適。低温やけど防止のため温度調整ができる。
- 脱臭機能:使用中や使用後ににおいを吸収・分解。トイレ空間を清潔に保つ。
- 自動開閉:人の動きを感知して、ふたや便座が自動で開閉。手を使わず衛生的。
- 自動洗浄:用を足した後に自動で便器を洗浄。流し忘れを防げる。
- ノズル自動洗浄:使用前後にノズルを自動で洗浄。常に清潔に保たれる。
日本では一般家庭のほか空港やホテル、コンビニなどのトイレにも設置されていることが多いため、こうした機能を持つトイレを初めて経験する外国人はびっくりするでしょう。
賃貸における温水洗浄便座の事情
賃貸物件でも、新築のマンションなどではほぼ標準装備となっています。しかし古い物件では普通の便座のままということも珍しくありません。
そのため、賃貸情報サイトの調査でもウォシュレットは人気設備の上位に位置しています。
2.賃貸物件でも便座交換は可能?
「温水洗浄便座がないなら、自分で交換すればいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、賃貸物件の備え付け設備は、基本的に大家さんの持ち物です。そのため、勝手に交換するとトラブルになる可能性があります。
そのため、まずは自分の住まい(または希望の物件)でウォシュレットが取り付け可能かどうかを確認することが大切です。
便座交換が許可されるケース、されないケース
入居後にウォシュレットを取り付けられるかどうかは、大家さんの判断によります。
この時の基本的な考えが「原状回復」のルールです。
原状回復とは、退去するときに「部屋を『借りたときの状態』に戻して返す」という、日本の賃貸契約における基本的なルールのことです。
もしウォシュレットを取り付けたなら、退去する時にウォシュレットを取り外して元の状態に戻さなければなりません。
その基本的な考えのもと、ウォシュレットが取り付けられるかどうかの目安が次のようになります。
許可されやすい条件
- 自己負担で設置し、退去時に撤去して元に戻すことを条件に許可される場合。
- ウォシュレット取り付けを「設備のアップグレード」とみなし、設置したままで退去を許される場合。
許可されにくい条件
- トイレに電源がない:電源がないとウォシュレットは取り付け不可。そのための電気工事は許されないことが多い。もし許可される場合も、工事費は自己負担となる。
- 契約により禁止されている場合:賃貸契約書に「設備の変更禁止」と記されている場合は、許可されないことが多い。
そのため、勝手に取り付けるのではなく、必ず事前に確認を取ることが何よりも大切です。
所有権の考え方(備え付け=大家の所有物)
日本の賃貸住宅では、「所有権」の考え方がとても大切です。例えば、ウォシュレットやエアコンなどの設備が誰のものかによって、故障したときに誰が修理や交換をする責任を負うかが変わるからです。
- ウォシュレットが最初から取り付けられている場合:最初から部屋に設置されているウォシュレットは、大家さんの所有物です。そのため故障や不具合があった場合は、通常、大家さんが修理や交換の責任を負います。
- 後から自分で取り付けた場合:「原状回復」を条件に取り付けた場合は、そのウォシュレットは取り付けた本人のものです。設置や故障時の対応も、全て自己責任となりますし、退去時には撤去して元に戻さなければなりません。「アップグレード扱い」として設置したままで退去を許される場合(これを「残置物扱い」といいます)、ウォシュレットは大家さんの所有物となります。この場合の修理の責任が誰にあるかは、契約条件によるため、事前の合意が大切です。
日本の賃貸では、設備の「所有者」が誰かをはっきりさせることが、入居後のトラブルを避けるポイントになります。
3.自分で便座を交換する際の具体的な流れ
では、大家さんがウォシュレットの設置を許可してくれた場合の、便座交換の流れを見ていきましょう。
自分でできる?業者に頼む?
まず考えるのは、業者に頼むか、それともDIYするかという点です。
- DIYできる条件:電気工事などの大掛かりな工事が不要で、工具なども揃っている場合。メーカー公式の手順動画や説明書に沿えば、30分〜1時間程度で交換できるケースもあります。
- 業者に頼んだほうがいい場合:電気や配管設備などの工事が必要だったり、工具が揃っていない場合。
特に電源の増設や給水配管の加工が必要な場合、資格のある業者でなければ取付工事はできません。
交換前の準備:便座選びのポイント
ウォシュレットを自分で取り付ける場合、まずは以下の点を確認しておきましょう。
コンセント(電源)の有無
トイレ内にコンセントがあるか確認。
ウォシュレットは電気製品なので、アース付きのコンセントが必要です。コンセントがない場合は、必ず電気工事業者に依頼して新設してください。自分でコードを延長するのは感電や漏電の危険があります。
また、ウォシュレット付近は水しぶきが飛ぶ場所なので、絶対に延長コードは使わないでください。感電や火災のリスクがあるため非常に危険です。
給水方式の違い(分岐金具タイプ・タンクレスタイプ)
ウォシュレットに水を供給する方法は、トイレのタイプによって異なります。
- タンク付便器:便器に水をためるタンクがあり、そこからウォシュレットに水を分岐して供給する。DIYでも比較的取り付けやすいタイプです。
- タンクレスタイプ:便器にタンクがなく、壁のバルブから直接水を流して洗浄する。市販のウォシュレットを設置する場合は専用の接続部品(アダプター)が必要で、DIYは難しくなることがあります。
給水方式によって、ウォシュレットのタイプも変わる場合があります。
便器のサイズ(エロンゲート、レギュラー)
日本の洋式便器には大きく分けて2種類があります。便座取り付け穴の中心から便器先端までの距離を測ることで見分けられます。
| 種類 | 長さの目安 | 特徴 |
| エロンゲート(大型) | 約470mm | 新築や比較的新しい物件に多い |
| レギュラー(普通) | 約440mm | 古い物件に多い |
最近のウォシュレットは「兼用タイプ」が多いですが、まれにサイズが合わないと便座がはみ出したり、フタが干渉する場合もあるため、購入前に必ず便器の寸法や型番を確認してください。
いざ交換!取り付け・取り外しの手順
ウォシュレットの一般的な取り付け方法は、次のような手順となります。
- 止水栓(トイレの水を止める蛇口)を閉めて、水が流れないようにする。
- 古い便座を便器から取り外す。
- 新しい温水洗浄便座を取り付ける。
- 止水栓を開け、水漏れがないか確認する
- コンセントを差し込んで動作確認をする
メーカーの説明書や動画サイトなどを見て、慎重に作業を行ってください。
古い便座の処分方法と注意点
「原状回復」を条件にウォシュレットを取り付けた場合、古い便座は捨ててはいけません。保管して退去時に元に戻しましょう。
「設備のアップグレード」として退去時の撤去が不要な場合は、古い便座を捨てても構いません。ただし、捨てる際にも注意が必要です。
古い便座の処分方法は、自治体によって異なります。「粗大ごみ」として出す場合には、事前に役所に電話やWebで申し込み、指定された手数料を支払い、指定された場所に捨てなければなりません。必ず自治体の処分方法を確認してください。
業者に設置を依頼する場合は、古い便座の処分も一緒に頼めることがほとんどです。その場合、処分費用が発生する場合があります。
4.便座交換にかかる費用と相場
便座交換にかかる費用は、主に便座本体の代金と取り付け工事費用に分かれます。
- 便座交換費用の内訳=本体料金+工賃+処分費
本体価格の相場
ウォシュレットは各メーカーから様々な製品が出ており、グレードによって料金も大きく変わってきます。
- エントリーモデル(1万円~3万円): 基本的な温水洗浄機能、暖房便座機能などがついています。
- ミドルレンジモデル(3万円~6万円): 抗菌・防汚機能、脱臭機能、自動開閉機能などが追加されます。
- 高機能モデル(6万円以上): 温風乾燥、マッサージ洗浄、自動洗浄、節電機能など、より快適な機能が充実しています。
自分が求めている機能を見極めて、ピッタリのモデルを選んでください。
工賃の相場
設置を業者に依頼した場合の工賃は、トイレのタイプによって異なります。
- タンク付便器:5,000円~15,000円程度
- タンクレスタイプ:15,000円~30,000円程度
あくまで、相場です。工賃は地域や業者によって異なります。
賃貸契約終了時の原状回復費用について
再取り付けの工事費は、数千円〜数万円かかる場合があります。物件や業者によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
万が一便座を捨ててしまうとその費用も余分にかかるので、注意しましょう。
5.よくある質問(FAQ)
最後に、便座交換にまつわるよくある質問をまとめました。
Q.勝手に取り付けたらどうなる?
契約違反となり、退去時に原状回復費用を請求されるだけでなく、違約金を支払うことになる可能性もあります。必ず事前に大家さんか管理会社の許可を取りましょう。
Q.古い便座は保管すべき?
はい、退去時に元の便座に戻す必要がある場合は、保管してください。新しい便座の箱に入れるか、ビニール袋で包んで清潔な場所に置いておきましょう。
Q.取り付け作業中に水漏れが起きたら?
すぐに止水栓を閉め、水漏れを止めましょう。そして、大家さん・管理会社、または業者に連絡してください。自分で解決しようとすると、かえって被害を広げる恐れがあります。